水産物
水産業の概要
オーストラリアは天然ものと養殖水産物の漁獲に「環境面で持続可能な手法」を用いることで、安全で良質な水産物の産地として世界から認められています。
ここ数年間で、世界の水産物需要は大幅に増えました。オーストラリアの水産養殖は国内・海外市場の需要に対応するため、その重要性を増してきており、ここ数年、年々天然漁獲・養殖生産共に増加しています。
四方を海に囲まれたオーストラリアはアメリカに次いで世界第2位の漁業水域を有し、海岸線の総延長は約6万キロに達し、管轄海域は9百万平方キロにも及びます。またオーストラリアの海洋環境は①赤道地域・熱帯、②亜熱帯、③温帯、④亜寒帯そして⑤寒帯と5つの気候帯をカバーしているため、多様な魚種の供給が可能です。
水産物の2015-2016年の水揚げ量を重量ベースで示すと、上位5品目は以下のとおりです。(天然・養殖の合計、単位:トン)
1 |
サケ・マス類 |
56,319 |
2 |
オーストラリア・イワシ |
44,898 |
3 |
エビ類 |
19,930 |
4 |
カキ |
11,345 |
5 |
マグロ類 |
10,225 |
商業ベースで漁獲される魚種
|
|
オーストラリアの商業漁業は広範囲で、湾や入り江はもとより大陸棚を越えて外洋に至るまで、場合によっては遠洋漁業も行われています。ホタテ・エビ・イカを始め、近海ものではキスやコチ、サンゴ礁ではコーラルトラウト、外洋の大物ではメロ・マグロ・カジキまで多様な魚種が捕獲されています。
漁業生産はロックロブスター・エビ・マグロ・サーモン・アワビ・牡蠣のような市場価値の高い、輸出可能な魚種に重点的に取り組んでいます。オーストラリアの水産業は国内市場にも新鮮な魚介類を供給しています。オーストラリアは天然アワビとロックロブスターの世界有数の産地で、香港・アメリカ・中国が主な輸出市場で、日本にも長年供給しています。
|
水産業の強み
< 持続的な漁業管理 >
オーストラリアでは持続的な漁業を支援し、海洋環境を保護することを表明しています。漁業資源が持続可能なレベルで漁獲される取り組みを確保すること、主要な魚種の現況をモニターすることが水産業界にとっての優先事項です。
2012年の政府報告によれば漁獲量の91%は持続可能な漁業資源から得られたもので、1%未満が過渡的で枯渇しそうなもの、3.5%は獲り過ぎたもの、4.5%は未確定なものとなっています。
|
|
 |
< 清冽な海からの良質な天然水産物 >
- ロックロブスター:
ウエスタン・ロックロブスターとサザン・ロックロブスターの2品種が輸出されています。前者は西オーストラリアで、後者は主に南オーストラリアとタスマニアで漁獲されます。従来はウエスタン・ロックロブスターがロブスター生産総額の約6割を占めていましたが、増加傾向にあるサザン・ロックロブスターにシェアを譲りつつあります。
- ア ワ ビ:
オーストラリアのアワビ輸出の6割は香港・中国・日本向けです。輸出される品種はグリーンリップとブラックリップの2品種が主で、養殖と天然ものの両方があります。タスマニアは国内総生産量の55%を占め、世界でも最大級の漁場のひとつです。タスマニア以外にアワビはヴィクトリアと南オーストラリアで漁獲されます。
- マ グ ロ:
オーストラリアのマグロ生産の約4分の3は輸出され、おもに日本の刺身用とアメリカ向けですが、タイと南太平洋諸島向けが増えてきております。天然マグロの大半はクイーンズランド北端のヨーク半島から東海岸沿岸を経て、タスマニア周辺海域からヴィクトリア・南オーストラリア州境に至るエリアで東海岸マグロ・カジキ漁業(ETBF) により漁獲されています。キハダマグロとメバチマグロの水揚げ額は豪州ドル20百万以上と評価されています。
< 水産養殖とその産品 >
 |
|
オーストラリアの水産業で水産養殖は安定的な成長分野です。オーストラリア産の品種に対する需要増とアジアとの近接性、さらには国際的に認められた高品質があいまって、オーストラリアの水産養殖業は高い市場価値の水産養殖品をお届けする競争力ある立場に位置付けられています。
オーストラリアの水産養殖生産額の大半は市場価値の高い真珠、サーモン、マグロによるものですが、実際には40を超える魚種が商業的に生産されています。生産額に関して上位5傑の魚種グループは、サーモン、牡蠣、マグロ、真珠貝、エビ、となります。
2015-20162010-2011期の水産養殖の総生産額(南オーストラリアの畜養施設に活け込みされる天然ミナミマグロを含む) は金額ベースで前年比9%増の10億3100万豪ドルとなり、、総生産量は97,046トンです。
|
新たな養殖環境の開発
水産養殖での生産以外に、オーストラリアは養殖事業コンサルティング、装置、技術、マーケティング、リサーチ、開発について相当の能力と専門知識を有しています。オーストラリア企業は、海洋環境のシステム開発や製造(例:海中牧場、表面遮水、水面下遮水、棚、地上設置の海水池、タンク、孵化場など)、人口池やタンクシステムなど淡水環境整備の経験を有しています。さらに循環型水産養殖システムとそれを利用したバラマンディ、マレーコッドやシーバスといった魚類の生産や研究施設にも豊富な知見を有しています。