オーストラリアの乳業

最適システムに支えられた品質と安全

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産業の概要

オーストラリアの乳業は、農業分野ではわが国で4番目に大きな地方産業です。サプライチェーン全体(農業生産・製造・輸出)で毎年130億豪ドルの収益を生み出しています。

2020年のオーストラリア酪農業の輸出額は27億豪ドルを超え、主要な輸出先は、日本、中国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、中東などとなっています。

厳格なバイオセキュリティー基準と食品安全システム、そして透明性の高いサプライチェーンに支えられて、高品質で安全な製品を求める世界中の顧客から厚い支持を得ています。

酪農家の大半は、生乳を協同組合や輸出企業へ直接出荷しています。酪農家、製造工場、輸送業者のそれぞれにとって、政府認定のHACCPプラン取得は必須要件となっており、乳製品の輸出にはオーストラリア検疫検査局の証明書が必要です。

automated production line in modern dairy factory

特長

わが国の酪農産業ではほとんどのケースで牧草飼育が実施されており、効率性が高く保たれています。 生産効率向上と安定供給を目指して、オーストラリアでは産業界と政府機関が協力して、濃厚飼料の利用機会増加や低コストで生産可能な放牧酪農導入などを実現してきました。

酪農産業の発展・促進を担っているデーリーオーストラリアは毎年1.5億豪ドル相当を投じて研究開発を行っています。現在では、生産効率向上プログラムとして、牧草・飼料の品種改良、人材教育、地域開発プログラムの策定、新酪農システムである自動搾乳システムやデータ管理を行っています。

また、家畜遺伝子研究、繁殖技術開発、生殖生理学に基づくシステムやITによる農場管理など、高い専門性を必要とする技術が日常的に運用されています。

製品別に輸出量を見ると、上位からチーズ、脱脂粉乳、全脂粉乳、ホエイパウダー、バターと続いています。オーストラリアの乳製品の最大の輸出国は中国ですが、オーストラリア産チーズ(主にチェダー)の生産量の50%以上は日本へ輸出されています。チーズ以外にもホエイやカゼインなども食品加工製造の原料として日本へ輸出されています。2013年に施行されたオーストラリアとの日豪経済連携協定(JAEPA)により、様々な乳製品の割当枠が年々増える取り決めとなっています。

Stack of goat cheese on plate, close-up

遺伝学、生殖サービス

オーストラリアの酪農家が過去10年 で達成した生産性向上のうち およそ3分の1は、遺伝子改良によるものです。

業界団体は各種プログラムに投資しており、次世代の牛群育成のために優れた牛を選定できるよう、酪農家にデータを提供するなどしています。

サプライチェーン管理・食品の安全

オーストラリアの酪農製品は、サプライチェーン全体を通じた最適手法システムに支えられています。

オーストラリア・ニュージーランド食品基準は、すべての酪農家に加え、酪農製品の製造業者と加工業者についても、農場での食品安全プログラムを文書化するよう義務付けています。

Mature woman reading milk label in supermarket, side view, close-up

教育・訓練・技能・研究

わが国では、幅広い分野で酪農の専門性を活かした教育・訓練を提供するとともに、酪農や酪農アグリビジネスに関連する調査・研究(R&D)を行っています。
オーストラリア全国酪農教育センター では、酪農業向けの職業教育・訓練を提供しており、パートナーである登録研修団体と協力して、全国で酪農訓練や先進的製造に焦点を当てた訓練を展開しています。

廃棄物・水・エネルギー・資源管理

オーストラリア企業は、酪農業における廃棄物や資源管理に関連する幅広い技術、設備、サービスを提供しています。また、国土の気候や生育条件が多様であることから、温帯だけでなく熱帯や亜熱帯の環境にも対応することができます。

ソフトウェア・情報通信技術(ICT)

オーストラリアは酪農事業を支援するため、財務会計ソフト、牧草管理、遺伝子評価、繁殖能力・生殖管理、繁殖登録アプリなどの幅広いソフトウェアとICTソリューションを提供しています。