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ニューサウスウェールズ(NSW)州政府のアクション・プラン: 建設部門への10項目のコミットメント

NSW Government Action Plan: A ten point commitment to the construction sector, June 2018 

2018年6月(原文はこちら

目的:

この発表はNSW州政府の建設リーダーシップ・グループ(CLG)によって作成され、加盟機関*によって承認されています。 これらの機関はすべて、NSW州政府に代わって大型で長期的なインフラ投資プロジェクト群の実施に関わっています。

*加盟機関はNSW州のインフラストラクチャーNSW、交通省、道路・海洋サービス、ヘルス・インフラストラクチャー、学校インフラストラクチャーNSW、司法インフラストラクチャー、公共工事諮問委員会、財務省、産業省、首相・内閣府。

CLG加盟機関は、NSW州政府のインフラ目標を達成するために民間部門との連携が不可欠であると認識しています。また、現在そして将来的にも、有力な建設会社、下請け業者、および業界のサプライチェーン間の健全な競争の存在が重要であると考えています。

したがって、CLGは建設部門の実施能力(技術・キャパシティ)向上のための一連の措置を講じることに合意しました。

NSW州政府は、建設部門の調達におけるVFM(バリュー・フォー・マネー)を達成することに努めます。しかし、VFMは、全てのプロジェクトで最低価格を得ることではありません。より幅広く長期的な視野を持ち、品質、革新性、コスト効率向上の面でNSW州に寄与し、持続可能な建設部門を育成することを意味します。

NSW州政府は、建設業界とそのサプライヤーにとって最高の施主であることを目指しています。また、業界関係者には誠実さ、品質、革新性、多様性、包括性において最高水準を満たすことを期待しています。

このアクション・プランは、建設部門での政府調達全般を対象としており、以下の点を達成することを目的としています。

  • 将来の需要を満たすため、建設部門の「供給」能力向上の奨励
  • 政府の調達プロセスの効率化を進め、業界のコストや「ダウンタイム」の削減
  • 建設業界の労働力のスキル、能力、供給の向上
  • 建設部門とそのサプライヤーにおける産業文化の変化と多様性の拡大
  • NSW州の建設部門のイノベーション推進のため、公共と民間部門とのパートナーシップや協力の奨励

10項目のコミットメント

CLG加盟機関は以下の10項目を達成するために協力しています。

 

1. より協調的な方法でプロジェクトを調達、管理

  • 早い段階に官民対話を行い、各大型プロジェクトや場合によってはプロジェクト内の各パッケージに最も適した調達方法に関する業界の意見を聞き、NSW州および他州での優れた慣行を参考にします。
  • 固定価格、一括調達方式への依存から離れ、アライアンスのような協調型の契約形態を検討します。
  • プロジェクトのリスクプロファイルの許容範囲において、VFMを犠牲にすることなく時間とリソースを節約できれば、設計段階から施工者が関与する方式(Early Contractor Involvement - ECI)のような迅速なエンゲージメントプロセスを採用します。
  • 業界と連携し、主要な調達方法におけるベストプラクティスや各方法が選択され得る状況を紹介する簡単なガイドラインをまとめ、発行します。
  • 大型プロジェクトにおいて官民対話終了後も、入札参加予定者が調達方式の根拠を確認し理解を深められるよう、入札書類完成前に入札参加予定者と対話型セッションなどを通じてフォローアップを行います。
  • 成約後は、両当事者がプロフェッショナルかつ相互尊重の理念の下に契約を管理します。
  • 当事者間で強い協力関係の確立と目的を共有するため、成約直後にワークショップを開催します。

2. パートナーシップに基づくリスク分担のアプローチの採用

  • 民間部門がすべてのリスクを完全に評価、見積もり、管理、または吸収できないことを認識します。例えば、ユーティリティ(公共施設)、計画許認可または潜在的な状況に関連するリスクなどは官民が協力して管理する必要があります。原則として、リスクは最も適切な当事者によって管理され、必要に応じて共有されるべきと考えます。
  • 調査や予測が困難な地中のリスク、その他のリスクを軽減し、データ結果の正確性に基づく政府保証が提供できるよう 地質工学的解析やその他のデューディリジェンスについて、どの調達プロセスにおいても、早い段階から業界の意見を求めます。
  • 官民のリスク共有によって公的資金のVFMと産業の持続可能性が改善される可能性のある分野について業界の意見を求めます。
  • これらの項目に対する標準的な契約上のリスク共有のための仕組みを開発します。その場合、両当事者へ適切なインセンティブを提供し、契約者の全体的な実行可能性を危険にさらさないような仕組みにします。
  • 業界と協力して、ユーティリティ(公共施設)に絡むリスクを管理・軽減するために各省庁やプロジェクトにおいて協力的手法を模索します。
  • 大型プロジェクトの契約では、上級レベルの「紛争回避」フォーラムを設置することを標準とします。 これにより、潜在的な問題を特定し、問題が拡大する前に解決することが可能になります。

3. 契約および調達方法の標準化

  • プロジェクト、省庁、インフラセクターを越えて、契約条件の標準化によって資源の効率化が最大となる分野を特定するため、業界と連携します。
  • 大型プロジェクトで用いられるNSW州の標準契約を他国の契約手法と比較します。そして国際的なベストプラクティスを採用し、場合によっては契約条件を一致させ、外資系企業によるさらなるNSW州建設市場への参入を促進します。
  • GC21(D&C)およびPPPに関する既存のガイドブックを補完するため、調達および契約実行手法(設計段階から施工者が関与する方式 (ECI) およびアライアンスを含む)に関する標準的なガイドブックをまとめ、発行します。
  • 標準的な契約形態の他にセクター固有の基準も最小限設けます。 これらは、必要な場合、または入札者との合意のみによって使用されます。
  • GC21のような標準契約の主要な条件と運用について、小規模契約者に定期的な説明会を行います。 

4. 透明なプロジェクト群の開発や推進

  • 少なくとも半年に1回、「政府全体」としてのNSW州の主要プロジェクト群(パイプライン)文書を公表します。この文書は、今後3〜5年間にわたって計画されている、または市場投入の可能性のあるプロジェクト詳細を開示します。
  • すべての建設会社・ディベロッパーの情報を取りまとめます。 これをもとにプロジェクト群(パイプライン)および関連する課題に関する連絡・コミュニケーションを行います。
  • CLGは今後のプロジェクト群に関する業界との対話型ブリーフィング、各省庁によるブリーフィングやNSW州政府全体のプロジェクト群データの提供を行うオンライン情報など、業界への情報提供に関する「政府全体」としてのアプローチ方針を取りまとめます。
  • これらのフォーラムを通じ、今後のプロジェクト群に対する業界のキャパシティ(実施能力)とキャパシティ拡大への投資計画、個々のプロジェクトのパッケージ化やフェーズ化による実施能力への圧力の軽減および事業規模の比較的小さい企業の参加を促すことに関し、業界からの意見を引き出します。
  • 大小異なる規模のパッケージを提供することで、中小企業が実施能力に合ったプロジェクトで競争できるようにします。
  • 連邦政府や他州・準州・特別地域政府と定期的に連絡を取り、全国的なプロジェクト群実施に対する業界のキャパシティへの新たな圧力・問題を特定し、協力して対応します。

5. 入札コストの削減

業界の「ダウンタイム」の短縮

  • 主要契約ごとにショートリストの候補者を3者まで選定します。入札者が適切な保証を提供できる場合は、2者だけをショートリストすることも検討します。
  • 関心表明の評価を行う際は、確実なプロジェクト実施能力を持った企業のみをショートリストします。
  • 不成功応札者が、優先交渉者との契約締結を待っている「ホットスタンバイ」にとどまることを求められる期間を最小限に抑えるよう努めます。
  • ショートリストや優先交渉者としての段階などで不要な遅延を減らすために、政府の承認プロセスを見直し、合理化します。
  • 各省庁や契約の種類ごとの承認プロセスの平均期間に関するデータを公開します。

「お役所仕事」の削減

  • 政府が設計調達をし、建設のみの入札を行うことで、優先入札権獲得前の入札者への設計要件を最小限にします。
  • 入札書類の電子申請義務づけや主要なプロジェクト調達においてBIMのような革新的な手法を標準採用することで入札者の文書作成の負荷を軽減します。
  • 会社の規模や能力群ごとに用いられる合理化された事前資格審査制度を導入することにより、実績を持つ企業の資格要件を削減します。
  • 既存の事前認定制度を見直し、実施能力に重点を置き、サプライヤーに不必要なコストや管理上の負担をかけないようにします。
  • 優先交渉者決定前に作成・提出を求められるプロジェクト特定の計画案の数を最小限にします。

明瞭性と一貫性の提供

  • 可能な限り、入札評価基準を通して政府の実際の優先事項(例えば都市計画に関連して)を入札者に明確に理解してもらえるよう努めます。これにより、業界は無駄な労力を極力使わず、優先事項に注力できます。
  • 入札依頼書発行後は可能な限り、評価基準や入札書類の重要な部分への変更を行うことを避けます。
  • 財務および業績関連リスクの現実的評価に基づき、担保、親会社の保証やその他の保証の要件をプロジェクトおよび各省庁間で標準化します。
  • 業界のコストを削減するため、契約や融資承認のための現実的なタイムフレームを決め、それを守るよう努めます。
  • 業界と定期的なコミュニケーションを取り、NSW州政府機関の入札プロセスにおける不必要なコスト、遅延削減努力に関して率直なフィードバックを求めます。また、フォローアップアクションを文書化します。

6. 入札参加費用に関する一貫したNSW州政府の政策の設定

  • 市場における競争を促進するため、必要な場合には不成功応札者の費用を一部払い戻すことに合意します。
  • 入札参加費用に関する政策を公表し、マーケットサウンディング(対話型個別ヒアリング)の際に入札費用が返還される可能性の高いプロジェクトついて協議します。

7. 優れたパフォーマンスを評価

  • 施主と業者に期待される主要な慣行や価値観に関する情報をCLGを通じて公表します。 これをパフォーマンス評価のベンチマークとし、プロジェクト実施中および終了後に率直な双方向パフォーマンス評価の基準とします。
  • 評価の結果を文書化し、CLGを通じてデータと評価内容を各省庁間で共有します。
  • 入札評価の際にNSW州や他州での政府プロジェクトの実績をもとに、協調的行動、実施能力およびパフォーマンス評価を重要視します。
  • 一貫して高い評価を受けている業者を報いるため、繰り返し成約できる機会を提供し、入札評価では最低でも過去のパフォーマンスを評価します。
  • 紛争回避と解決のため、標準化された契約手法を採用します。
  • 契約上の支払いを含む契約管理のために効率的で標準化された手法を採用します。 

8. 契約上の支払いの安全性と即時性の向上

  • 合意された契約内容の変更時を含む、支払いの即時性についての各省庁のパフォーマンスデータを評価し公表します。各省庁が公表されたパフォーマンス基準を満たすことに尽力させます。
  • 小規模下請け業者が受ける支払いの安全性向上のため、業界固有の第三者預託制度を定めます。
  • 1999年に制定された建物および建設業支払保証法の見直しを完了し、その勧告を実施します。
  • 各省庁が以下のことができるようにGC21と他の標準契約を改定します。

 - 特に小規模の請負業者のプロジェクト初期段階での資金繰りの懸念を緩和するため、プロジェクト開始に先立って契約上の支払いを行うこと。
- 指定された一定基準の金額を上回る契約について、サプライチェーンの全ての下請け業者に透明性のある支払証明を提供すること。

9. 技能と訓練の改善

  • 業界およびその代表機関と協力し、建設および関連業界における現在および今後のスキルギャップを特定、評価、報告を行います。
    全ての大型政府建設契約において、Infrastructure Skills Legacy Program (ISLP)の目標レベルと一致する、最低限の訓練を義務付けます。それには以下が含まれます(一般工事含む):

 - 全労働力の20%は「研修ワーカー」(インフラプロジェクトのニーズを満たすために資格を更新している研修生および労働者)

  • 入札者がこれらの基準を十分に超えた場合、入札者に加点を与える入札評価基準やインセンティブ制度を採用します。
  • 産業省およびCLGを通じて、以下の点に関するデータを監視し、公開します。

 - すべての主要NSW州政府建設契約に関連する訓練と人材開発における活動。

 - 訓練と人材開発に関するベストプラクティスのケーススタディ。

 - 現在のスキル不足または今後の技能不足の領域を含む、業界全体の技能の傾向。

  • 全ての省庁に与えられた地方への投資予算から地方の技能訓練機関、業界団体が主導する技能向上プログラムやその他のNSW州の職業訓練プログラムに一定額を配分するほか、カリキュラムや試験要件に関して業界の意見を提供してもらいます。
  • NSW州において業界および鉱業などの専門職の海外資格の認証を進めます。
  • 可能な限り国内の製造業を利用した建設部材のプレハブ工法導入を促進します
  • OJT(実地訓練)を妨げる要因になり得るため、入札書類では可能な限り、従業員の経験と勤続年数の要件の必要性を回避します。
  • OJTを促進し、研修生にとって容易かつ都合よく機会が提供されるようにします。
  • CLGを通じて、公共および民間セクターにおける "ベストプラクティス"の人材開発イニシアチブを共有、促進、公表します。
  • すべての契約上の義務が確実に遂行されるよう、業界の人材開発に関するパフォーマンスを注意深く監視します。
  • NSW州政府のすべてのレベルのプロジェクトマネージャーおよび契約マネージャーのリーダーシップとビジネススキル向上のため、大きな投資を行います。
  • 業界と協力して施設やリソースを共有する機会を特定し、VFMの最適化、研修生の継続性を確保します。

10. 業界の多様性向上

  • 業界と協力し、建設業界の労働力における多様性を特定、評価、報告します。
  • すべての主要な政府建設契約に募集と訓練のイニシアチブを盛り込みます。 可能な限りISLPの目標を反映するために実地訓練を用いて、特に以下の点を目指します。

 - 業界における女性の労働力を倍増させる(NSW州平均を1%から2%に引き上げる)。

 - 最近公表された「先住民・アボリジニの建設業界への参加」に記載されているNSW州政府建設契約へのアボリジニの参加についての要件を満たす。

 - プロジェクトの全労働力の少なくとも8%が25歳未満であること。

 - 地元住民を雇用、訓練する。

  • これらの目標を上回る入札者に加点を与える入札評価基準を採用します。
  • ISLPを定期的に見直し、更新することで建設業界の労働力のすべての少数派に適切に対応できることを目指します。