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タスマニアペッパー

 

一般名 タスマニアペッパー、マウンテンペッパー、ネイティブペッパー
学名  Tasmannia lanceolata
利用部位 成熟葉:そのまま付け合せとして、または乾燥させ粉末にしてスイーツや料理の香りづけとして用いられる。
ベリー:そのままで、または冷凍もしくは乾燥させて辛み成分として用いられる。
写真 

ANFIL Tasmania Pepper 1 ANFIL Tasmania Pepper 2

■ プランテーション                          ■ 成熟した木

ANFIL Tasmania Pepper 3   ANFIL Tasmania Pepper 4    

■ ペッパーベリーの開花の様子    ■ ベリー

季節性 生のベリーは3月~5月に収穫され、3月~6月末まで利用できる。冷凍および乾燥したベリーは一年中利用できる。
生の葉および乾燥葉は一年中利用できる。ほとんどの地域において、最適収穫時期は2月~開花が始まる9月末の間。
栄養価 

エネルギー

水分

タンパク質

脂肪

炭水化物

全糖

繊維

1,630 kJ

/100 gm

< 8 %

9 gm

/100 gm

8.5 gm

/100 gm

68.4 gm

/100 gm

4.7 gm

/100 gm

N/A

 

Na: 47.35 µg

K: 1,107 µg

Mg: 142.2 µg

Ca: 147.8 µg

Fe: 5.22 µg

Zn: 3.5 µg

Cu: .847 µg

出典: Konczak, I., Zabaras, D., Dunstan, M., Aguas, P., Roulfe, R., Pavan, A., (2009) Health Benefits of Australian Native Foods(オーストラリア原産食品の健康効果), RIRDC Pub. No. 09/133.

 

利用歴 

T. lanceolata (1) はアボリジニが使用していたもので、1804年 (2) に商業的可能性のあることが確認された。オーストラリアでは初期の入植の頃から香辛料として用いられてきた (3)。1926年にはイギリスのコーンウォール地方に栽培が伝わり、現地では「コーニッシュペッパー」として知られている (4)。
Sturtevant(1915)はこの植物がコショウとして用いられていると報告している (5)。

タスマニアペッパーは、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)(6) により伝統食品とみなされている。1994年より香辛料としてEUに輸出されており、コーデックス規格のリストに記載されている。

(3) Maiden, J. H., 1889, The Useful Native Plants of Australia, including Tasmania(タスマニアを含むオーストラリアの役に立つ原産植物). Turner & Henderson, Sydney
(5) Hedrick, U.P. 編者. 1919. Sturtevant’s Notes on Edible Plants. Report of the New York Agricultural Experiment Station for the Year 1919 II(食用植物に関するSturtevantの手記-ニューヨーク農業試験場の報告‐1919年II). Albany, J.B Lyon Company, State Printers

利用可能性品 

葉は香料エキスの調合原料として、ブレンドスパイスや焼き製品および化粧品に用いられる。また、ソース、チャツネ、フレーバーチーズおよびオリーブ油を作るのに直接用いられる。

ベリーは丸ごとエアードライおよびフリーズドライし、スパイス専門店、外食産業および商業生産用に用いられる。粉末製品としても入手可能で、商業生産用途では通常こちらの方が好まれる。

エアードライのベリーは、小さく黒みがかっており固く、グラインダーでの使用に適している。一方、フリーズドライのベリーは、生のベリーのように大きく、赤紫色~紫色をしており、もろい。フリーズドライのベリーは料理に彩りを添え、水でもどすと生のベリーのようになり、付け合せとして用いることができる。

機能性 

Zhao et al (2007) は、タスマニアペッパーの葉とベリーが、一般的な食物経由のヒト病原体、一般的な腐敗細菌、酵母菌およびカビに対し、非常に強力な抗菌作用を示すことを発見した。また、高い抗酸化活性を持っていることも示された。タスマニアペッパーの主成分であるポリゴディアールは、医療用途に用いられる可能性のあることが示されている。

Konczak et al (2009)の研究により、タスマニアペッパーの葉は、測定を行ったすべてのオーストラリア原産食品の中で最も高い酸素ラジカル吸収能を示すことがわかった(ORAC- T: 4,077.12 mol TEq/g DW)。これから分かるように優れた抗酸化活性を持つ。FRAP(鉄還元/抗酸化力)分析では、1,314.5 mol FE+2/g DWの総還元能力および102.06 mg GA EQ/g DWの総フェノール類含量を示した。

葉の分析では、ビタミンEが17.835 mg/100 g DW含まれていること、およびß‐カロチンがブルーベリーの10倍に相当する2.30 mg/100g DW含まれていることが認められた。

ルテインの含有量は1.56 mg/100g DW、また葉酸の含有量は160.0 µg/100g DWであり、これは1日当たりの推奨摂取量の75%に相当する。タスマニアペッパーの葉はマグネシウム、亜鉛およびカルシウムが豊富で、ゲノムの健全性を守るために重要である。

 説明

タスマニアペッパーは、一般的な熱帯雨林の灌木または低木であるTasmannia lanceolataの葉およびベリーに由来する。Tasmannia lanceolataはオーストラリア南東部およびタスマニアの多雨林に生育し、ニューサウスウェールズ州のヘイスティングス川貯水池周辺の、南は海抜ゼロ地点から北はより高緯度地帯にまで分布している。

4~5メートルの高さにまで生育し、鮮やかな深紅色の茎と固い深緑色の葉を有している。雌株(この種は雌雄異体)は濃い紫色から黒色の小さな豆粒大の実を(時にはたわわに)つけ、秋から初冬にかけて熟す。

毎年、春になると新しい葉のかたまりが1つ以上芽吹き、生長点には花の房が形成される。花を取り囲む新芽は初夏から真夏にかけて30センチにまで成長することもある。こうした新芽には5枚から20枚の葉がつき、晩秋までには突き出た混芽(花芽と葉芽を含んでいる)となって終わる。

この種は雌雄異体であり、雄花と雌花が別株に咲く。そして雌花だけが実を結ぶ(上記画像参照)。商業生産を計画する際には繁殖を目的とした性の選択が行われるが、それは目的、つまり葉の生産かベリーの生産かにより異なる。この種の生殖生物学に関する研究はほとんど発表されておらず、調査の必要な問題がいくつか存在している。着花および着果をコントロールする要素が非常に重要視されている。

生育情報 

この種は主に、オーストラリア南東部の比較的降水量の多い冷涼な地帯に生育し、同様の条件を備えた場所、また夏の暖かい風から十分に遮られ、比較的肥沃な土壌であれば栽培するのはいたって簡単である。

遅霜により果実の生育に悪影響が出ることもあるが、霜には強い。Tasmannia lanceolataは非常に乾燥の影響を受けやすい一方、単根で運搬システムも非常に単純であるため、水浸しの場所または水はけの悪い場所でも上手く育たない。
加工:葉は通常温風乾燥機を用い、管理された状況下で乾燥させる。その後、葉を茎から取り去り、検査を行った後、束ねて乾燥した暗所に保管する。乾燥した葉は、保管状態が良ければ最長12カ月間は品質が保たれるが、光に当たったり、再び水分を含んでしまたりすると急速に劣化する(色、香り、新鮮さが損なわれる)。葉は、通常粉末で明細書を付けて販売されるが、保存期間を最大限に保つためには、注文に応じてすり潰すのが最も良い。
ベリーは、保存期間を最大限に延ばすために収穫後は冷蔵するのが望ましいが、理想的には出来るだけ早く乾燥させるのが良い。
生の(または冷凍した)ベリーの市場は小さく、ほとんどの果実は、高温で実がトロトロにならないように乾いた温風で乾燥させたり、非常に低温でフリーズドライにしている。この2つの加工方法により果実は全く違った製品となり、それぞれに適した用途を持つ。
乾燥させる葉とベリーはすべて、製品の傷みを防ぐため出来るだけ急速に、水分を全製品重量の7%未満まで減らすのが望ましいとされている。
水分量を低く保つことが、損傷を抑え、微生物の繁殖を防ぐ最も重要な手段の一つとなる。
ペッパーの葉とベリーは、酵母菌およびカビの繁殖に対し本来ある程度の耐性を持っているのだが、その一方で、乾燥した果実はどちらの菌からも常に悪影響を受けてしまい、製品の品質と市場性が著しく損なわれる。
品質問題:ペッパーの葉は通常、粉末またはすり潰した状態で提供されているが、品質を示す重要な指標は色(カーキ~若草色)、香りと辛味、および目で判別できる小枝が最小限しか含まれていないことである。また、すり潰し方の細かさも、仕様の問題であったり、買い手の好みによって変えることができる。
ベリー(エアードライ)については、色(黒)の均一性、付随している小花梗(収穫が早すぎたしるし)などの異物が全く入っていないこと、およびすっきりとした爽やかな香り(カビ臭さや酵母臭さが全くない)が、求められる主な要素である。ベリーは完全に乾燥していることが必要で、手触りが小石と同じくらい固く、最低でもおおよそ92~94%の乾物量を示していなければならない。フリーズドライのペッパーベリーは、色(赤紫色~紫色)および乾燥度合が主な問題となる。乾燥ベリーは実が引き締まっていて、指ではさむと粉々に砕け、もろもろの粉末になる。見本はできるだけ砕けたり、傷がついたりしておらず、色あせたり、しなびたりしていないものが望ましい。

著者: Chris Read.
寄稿者: Sibylla Hess-Buschmann, Rus Glover.